プレスセミナー 「世界骨粗鬆症デーにむけて」を開催しました

毎年10月20日は世界骨粗鬆症デーとして、世界各地で骨粗鬆症啓発のキャンペーンが繰り広げられている。骨粗鬆症財団は去る10月9日、東京ミッドタウンカンファレンスにて報道関係者ならびに当財団賛助会員企業を招待して、プレスセミナー「世界骨粗鬆症デーにむけて」を開催した。

日時■2015年10月9日(金)16:00~17:30
会場■東京ミッドタウン・カンファレンスセンター
主催■公益財団法人骨粗鬆症財団
当日の出席メディア■15名(12社)
当日の出席賛助会員企業■21社



主催者挨拶:World Osteoporosis Dayと日本における活動の紹介
公益財団法人骨粗鬆症財団理事長 折茂 肇 氏

IMG_9648日本においても骨粗鬆症という言葉は広く認知されてきているが、骨粗鬆症の本当の怖さは伝わっていない。骨折によって寝たきりや要介護になることも多く、寿命を縮める原因にもなっていることから、本格的に取り組むべき喫緊の課題である。そこで世界骨粗鬆症デーをきっかけに疾患の正しい知識を持ってもらうために、今回のプレスセミナーを企画した。また、財団はこの世界骨粗鬆症デーのキャンペーンとして、市民公開講座を開催し、そして賛助会員企業の協力を得て啓発ポスターを制作、更には賛助会員企業と一体感を持って広報活動を推進するため、Love Your BONESバッヂを制作するなど、様々な活動を行っている。

講演Ⅰ:骨粗鬆症診療の現状と課題

近畿大学医学部 公衆衛生学 教授 伊木 雅之 氏

 IMG_9672日本における骨粗鬆症患者の人数は推定1280万人であるが、そのうち治療を受けている患者は、女性で17~34%、男性で4~8%であり、治療を必要としている人が治療を受けていないという大きな治療ギャップが骨粗鬆症では存在している。
 骨粗鬆症の治療ギャップを埋めるためには検診による早期診断・早期治療が重要であるが、検診は必ずしも骨折リスクの高い高齢者が対象となっておらず、しかも受診率が低い。その理由として考えられるのは、高齢者が骨粗鬆症の検診対象になっていないことに加えて、そもそも骨粗鬆症検診の実施率が低いことである。更には、骨粗鬆症性骨折後も治療されていない場合が多いこと、骨粗鬆症と診断され、治療を受けていてもアドヒアランス(治療継続割合)が低いことも治療ギャップの大きな原因である。

講演Ⅱ:骨粗鬆症対策と健康寿命延伸

厚生労働省健康局健康課 女性の健康推進室長 吉住 奈緒子 氏

IMG_9681 厚生労働省は、骨粗鬆症対策の一次予防として、どうやって骨粗鬆症にならないようにするのか、二次予防として骨粗鬆症となった患者をどうやって早期に発見していくのかという観点で対策を進めている。そのひとつに骨粗鬆症検診がある。市町村における骨粗鬆症検診の現在の実施率は61%であり、すべての市町村で実施されているわけではない。受診者数は少しずつ増加している傾向はあるものの、最近の統計では約30万人であり、残念ながらすべての対象者が受診しているわけではない。従って、この受診者数を少しでも拡大させていくことは一つの課題であると認識している。
 骨粗鬆症の一次予防に対する取り組みでは、いかに骨粗鬆症にならないようにするかという観点で国民健康づくり運動を10年ごとに見直しており、現在取り組んでいるのは平成25年から始まった健康日本21の第二次である。更に厚生労働省は健康づくりのため身体活動基準を示しており、年代毎にどのような身体活動が求められ、どのような運動が必要かということをホームページ等で紹介して普及啓発を行っている。

講演Ⅲ:今後の骨粗鬆症診療の展望

原宿リハビリテーション病院 名誉院長 林 泰史 氏

IMG_9688 骨粗鬆症診療では近年さまざまな骨粗鬆症治療薬が登場し、多くの患者で使われ初めてきたことより、大腿骨近位部骨折の発生率が少しずつ減じている新時代を迎えている。
 更に骨折を減らすためには、検診対象の年齢層を拡張して、骨粗鬆症の早期発見・早期治療の努力をすべきであり、骨折リスクの高い患者の多い老人ホームやリハビリ病院で治療が必要とされる患者に骨粗鬆症治療薬を行き渡らせることが重要である。
 特に、一度骨折した患者では再骨折するリスクが非常に高いことがわかっているので、この再骨折を防ぐだけでも骨折を半分にすることが出来る。日本骨粗鬆症学会が昨年から取り組んでいる骨粗鬆症リエゾンサービスをいう仕組みにより、医師自らが患者発掘や服薬遵守を指導しなくても良い時代になってきた。
 80~90歳代ほど骨折・転倒が要介護原因になってきていることより、適切に骨粗鬆症の治療を進めることで、不老長寿の効果も期待される。「年だからしょうがない」と諦めないで高齢者の検診を推進し、骨粗鬆症の予防と治療に取り組む事で、80歳、90歳の高齢者であっても人生の最後まで骨折知らずで自分らしく暮らせるようになる。

閉会の辞 公益財団法人骨粗鬆症財団理事 太田 博明 氏

IMG_9708 本日は長時間のセミナーに参加いただき、誠にありがとうございました。
 世界骨粗鬆症デーの今年のテーマが骨の健康維持のための栄養摂取である。骨粗鬆症の予防には乳製品、果物・野菜、魚の摂取、すなわち従来から言われてきたカルシウムとビタミンDだけでなくタンパク質も重要である。
 現在、大腿骨近位部骨折は高齢者の22%(5人に1人)で発生し、椎体骨折は37%(3人に1人)で発生しているが、治療率は25%であり、欧州の平均43%に比べて低いことに加え、治療継続率が悪い。これからの10年、骨粗鬆症財団としては今日ここに参加いただいた皆様と一緒に、骨粗鬆症の疾患啓発に注力していきたいので、財団の活動へのご協力をお願いします。

協賛
  旭化成ファーマ株式会社
  エーザイ株式会社
  MSD株式会社
  大日本住友株式会社
  武田薬品工業株式会社
  帝人ファーマ株式会社
  森永乳業株式会社

このページのTOPへ