骨粗鬆症財団20年のあゆみ
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26基本財産の運用にあたっての国債購入財団法人の運営は、財団の設立趣旨に賛同する法人や個人から設立時に集めた寄付金を基本財産として、その運用益によって目的に沿った公益的事業を実施するのが原則であった。「あった」と過去形で表現したのは、日本経済の高度成長期には定期性の預貯金の金利も相当に高く、事実それが可能であったのだが、その後の低成長期に突入してからはその金利はどんどん下がる一方で、遂に実質的なゼロ金利時代が到来し、基本財産の運用益での財団運営など全く不可能になってしまったからである。そして、その状況は不幸にも今日まで続いている。 そうなると、どの財団も基本財産の運用をどうするかは大きな問題となり、中には高い配当利益を求めてリスクの高い外国債などに投資し、結果的に基本財産を大きく毀損するようなケースが少なからず生じてしまったのである。そして、このような事実がトラウマともなって、財団の運営に係る理事や評議員の心の中に「投資」への警戒感が高まり、国債に関しても、日本国債か外国債かの区別もなく「国債は怖い」という潜在意識が広まったように思われる。さて、本財団は設立初期に確保した4.3億円の基本財産を、ある時期まで安全性の高い定期預金で運用してきたが、当初得られていた年間2,000万円を超える利息が最後は何と20万円(金利0.05%)にまで減少してしまった。そのような状況下で、本事務局でも少しでも多くの運用益が得られる方策をいろいろ検討してはいたが、やはり貴重な財産を少しでも毀損してはならないとの思いが強く、新たな運用策にはなかなか踏み切れないでいたのが実情である。しかし、「年間の運用益がわずか20万円」の惨状を目の前にして、遂に、ある程度のリスクは負っても運用益の改善を図るべきであると決断するに至った。平成16年の春のこと、素人のにわか勉強ではあったが種々の金融商品を調査検討した結果、固定金利付の長期日本国債が安全性も高く配当益もそこそこで、財団の投資としては最適であろうとの結論に達した。新規発行の長期国債の表面金利(年間配当利率)は、入札の都度刻々と変わっていたが、やはりズルズルと低下しており、直近の入札では、固定金利10年物で1.5〜1.7%を付けていた。20年物、30年物であれば、それより更に0.5〜0.7%高かったと思う。従って、より高い運用益を得ようとすれば、より長期物が有利ということになるが、ただし、もし将来的に市中金利が上昇してその国債の表面金利を上回るようなことになれば、より長期に低利の運用に甘んじなければならないという意味での機会損失が生じることになる。そのような場合、満期を待たず中途で売却することはもちろん出来るが、必然的に元本割れを起こすことになる。つまり、何がしかのリスクはどうしても付きまとうの国債購入の経緯

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