骨粗鬆症財団20年のあゆみ
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27である。上述のように、どの国債をいつ購入するかは悩ましかったが、一日でも購入が遅れればその分機会損失となるので、ともかく償還期限10年の固定金利付国債に的をしぼり、急ぎ理事会での承認を得ることにした。当時「日本国債は遠からず破綻する」という本も出回っており、案の定、理事の中にも大変心配される方もおられたが、日本国債は外国債とは異なり安全性が格段に高いこと、満期まで持っていれば毎年600万円強の配当益が安定して得られること、等を熱心に説明し最終的に承認を得ることができた。その際の最後の決め手が「国が破綻した時、銀行が健全であるとは思えず、本財団がまともに事業を続けている状況とも思えない、国と心中するつもりで国債を買いましょう」だったことを懐かしく思い出す。ただし、一度に全額投資するのは避けて、当年と次年度の2回に分けて購入しようとの結論になった。その理由は、危険だからというよりは、1年後に金利が反転してもっと有利な金利になる可能性もあったからである。その結果、本財団は平成16年夏購入の2.5億円(金利1.6%)と翌17年春購入の1.7億円(金利1.3%)の計4.2億円の固定金利付10年国債を保有することとなり、以後毎年620万円の運用益を継続的に得ている。この620万円という額は本財団の総収入の1割余りにしかならないが、財団の運営管理費の半分近くをカバーしており、それなりに意義は大きいと思われる。その後の経済状況は不幸にも低迷(デフレ)を続け、本文執筆の平成24年5月時点で、新規発行の当該10年国債の表面金利は0.9〜1%と低迷している。しかし、これは日本国債が依然として人気があり、当面の破綻リスクも極めて低いことを意味しており、1.6%と1.3%で運用してきた本財団の国債による資産運用は、少なくとも現在までは成功だったと信じている。

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