骨粗鬆症財団20年のあゆみ
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69 3 調査・研究事業2. 成長期にある子供とその母親の 骨密度強化啓発と親子の相関性調査研究事業成長期に多くの骨量を獲得し最大骨量を増加させることは、将来の骨量減少状態においても骨折閾値以上の骨量を獲得でき、骨折予防から重要と考えられる。平成13(2001)年から現在(2012年2月)まで中・高一貫校の中学1年生から高校3年生の女子生徒とその母親を対象に踵部の超音波骨量測定装置を使用し、骨検診を施行してきた。問診票を配布し年齢、身長、体重、既往歴、骨折歴、初経年齢、閉経の有無(母親のみ)、運動歴や食事内容に関する調査と食事診断票を用いて、カルシウムの1日摂取量を算出した。さらに毎年の追跡検診者に対して、骨粗鬆症の予防に関する講演、医師や栄養士から自己の食生活の見直しと運動嫌いの親子には縄跳びを中心とした運動の必要性について指導してきた。この研究事業は小松診療所の内田雅巳氏と骨粗鬆症財団の提案で、平成12(2000)年8月にこの事業計画が発案され、平成12年10月3日に1回目の検討委員会が開催された。当時の財団事務局長の山田昭夫氏、小松診療所の内田雅巳氏らが参加し、委員会の委員長に任命された私とで事業の打ち合わせや親子への問診表の作成が行われた。その後、「平成13年度厚生省子育て支援基金」の助成が決まり、骨粗鬆症財団における事業の一環としてスタートした。まず平成13年5月26日より川崎市にある中・高一貫校のS学園より親子の骨量計測や問診が始まった。管理栄養士の方にも協力をいただき、骨量計測は世田谷のD学園でも行われるようになり、この結果を13年度の事業報告書としてまとめた後、骨粗鬆症財団に発行していただいた(平成14年3月発刊)。さらに2年目の事業として母集団を増やし、食事を含めた生活、運動習慣の指導啓発が1年後の骨量、生活習慣の改善に反映したか否かを調査し、啓発の適正を確認し、第2報として報告書(平成15年3月発刊)に取りまとめた。この研究成果の一部を第77回日本整形外科学会学術集会、第6回日本骨粗鬆症学会で発表した。その後、内田雅巳氏が病気で亡くなられ、私が内田氏の意志を継ぎ、この事業をさらに発展させるため、日本整形外科学会が推進している国民の運動器に関する問題解決に寄与するプロジェクト研究事業の助成獲得と骨粗鬆症財団のご協力をいただき、平成16年から18年までの3年間の調査継続が可能となった。さらに平成19年からは科研費基盤研究の助成獲得と骨粗鬆症財団の協力をいただき、現在まで継続している。現在までにこの調査に参加した親子の延べ数は5,000人以上で、親子ペアは1,900組以上に達している。事業の立ち上げから現在まで

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