骨粗鬆症財団からのお知らせ

追悼 折茂 肇先生(寄稿:中村 利孝先生)

2025/07/07
新着情報
第3代理事長 折茂 肇先生
(1935-2025)
 
本年5月16日に折茂肇先生がご逝去されました。心からの哀悼の意を捧げます。

 折茂先生に私が初めてお会いしたのは、先生が東大老人科に赴任されて間もない頃です。すでに先生は骨粗鬆症研究では第一人者で、高弟である白木正孝先生と共著で、世界的な業績を幾つも発表されておられました。
 先生からのお呼びでお部屋に伺うと、「骨粗鬆症を疾患として定義したい」というお話しでした。当時は、女性ホルモン、カルシウム、活性型ビタミン、カルシトニンなどが使用される状況になっていました。しかし「骨粗鬆症」の定義はなく、治療薬の有効性についてのデータは僅かでした。
 先生のお話を伺い、「疾患の定義」の重要性を初めて認識しました。治療の有効性は疾患が定義されてこそ、客観的に証明できます。後年、いわゆる「Evidence Based Medicine; EBM:証拠に基づいた医療」という概念が提唱されようになった時、折茂先生の先見性を改めて認識した次第です。
 折茂先生の訃報に接し、先生に初めてお会いした時の事が走馬灯のように思い出されました。先生、本当にお疲れ様でございました。長年のご指導に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

中村 利孝(副理事長・東都三軒茶屋リハビリテーション病院 院長)